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自然的教授法

 外国語教育の最初の形態は、自然的教授法と呼ばれています。英語では"The Natural Method"と言う名称で呼ばれている教授法です。自然的教授法は教授法と呼べるような体系的なものではありませんが、外国語教育が確立する以前はこの方法が用いられていたと考えられます。典型的には、大昔に戦争で敵国の人を捕まえて奴隷にした際に、その奴隷と話しながら、次第に言葉を覚えるということがあったようですが、それがこの自然的教授法です。文法や語彙を体系的に教えるという現代的な教育ではなく、行き当たりばったりに、「これは何という?」などと聞きながら、適当に覚えていくと言う方法です。この様な教え方を現代の応用言語学では「自然的教授法」と呼んでいます。
 よくテーブルを囲んでネイティブ・スピーカー(その言語を母語として話す人)と会話させて、適当にその言葉を覚えさせるという方法が一部の語学学校で用いられていますが、それが現代における自然的教授法と言えるでしょう。過去においては、有名なところでは、「外国語学校バイリンガル」(倒産)や「NOVA(ノヴァ)」(倒産)が使っていた方法です。その他、同様の教授法を用いる学校が無数にあるようです。小さなところは不明ですが、そういう小さいところを除外すれば、先駆者はバイリンガルだと思われます。経営者は大学の英文科卒の女性でしたが、その人の発案した教授法です。簡単にまねができるため、類似の学校がどんどん増えて行った様です。「NOVA(ノヴァ)」はその一つということです。日本国内ではなかなかネイティブ・スピーカーと話す機会のない人が多く、そう言う人たちの「ネイティブ・スピーカーと話したい」というニーズを満たし、同時に、ネイティブ・スピーカーと話をすれば、英語が話せるようになるのではないかという、よくある根拠のない盲信を原動力にして、この様な「教授法」とそれを使う学校が広まっていったと思われます。
 自然的教授法は、体系的でないため、非常に効率が悪く、極めて低いレベルの英語力なら達成可能ですが、実際に役に立つような英語力は身に付きません。ネイティブ・スピーカーと英語でコミュニケーションを取る努力をしていると英語が話せるようになる等というのは、素人が持ちやすい妄想に過ぎません。非常に類似していて、ほとんど方言と行って良い様な言語を習得する場合なら、この方法もある程度有効ですが、日本語と英語のように全く異なる言語では、全く意味をなしません。この方法で何らかの効果を上げた日本人は、すでに英語力が高いレベルに達し、英語で大体コミュニケーションができるようになった人だけだと言えるでしょう。英語を教えると言うことは、しゃべっていればよい等という甘いものではないということです。
 なお、外国語教授法で有名なものとして、「ベルリッツ・メソッド」というものがあります。この教授法は、商業的な外国語学校として世界的に展開しているベルリッツ・スクール(「ベルリッツ語学学校」とも言う)で用いられている教授法です。この教授法は、後に述べる直接教授法に分類されることもありますが、この学校の創始者であるマキシミリアン・ベルリッツが直接教授法と呼ばなかったこともあり、自然的教授法の一種として分類されることもあります。しかし、ベルリッツ・メソッドは体系的な教授法ですので、自然的教授法とは一線を画するものと言うことができます。ベルリッツ・メソッドについては、後で詳しく解説したいと思います。
2008年2月19日

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